駅から冬の海はみえない










「冬の海が見たかったんです」
「はぁ?」
二人は自分の街へと帰る電車を待っている。
その駅員のいないぼろぼろな駅にはくすんだ緑の腰掛(ひとつひとつにわかれている)が6つ。
坂田と新八は肩と肩をくっつきあわせてそれに座っている。
「てゆーか、山しか見えねーんですけど」
告げられた3駅目で新八は素直に坂田を起こした。
本当は起こしたくなかった。このままどこかへ行ってしまえればいい。ふたりで。
しかし、それこそドラマの世界だ。
ドラマと違うのは、これが新八の片思いだ、ということだけ、で。
「てゆーかなんで海なんだよ」
ここで坂田は大きなくしゃみを一つする。
ぐすっ
相変わらず新八のマフラーは巻いたままだ。
「大丈夫ですか?」
見れば坂田はあの怪しげな白衣と中のシャツしか身に着けて
いない。
「何でそんな格好で」
「お前が急かすからだろ」
新八は心外だ、という顔をする。
急かしてなんかいない。勝手に来たのはそっちじゃないか。
もう一つくしゃみ。(坂田はくしゃみをしても手で口をおさえない)
カンカンカンカンカンカン
近くの踏み切りのけたたましい音が響く。
電車がきた。
「・・・・・・・・・」
ゆらゆらと、電車の顔が近づいてくる。
これに乗って、家へ(学校か)帰るのだ。現実の世界へ。坂田に連れられて。
新八はゆっくり立ち上がった。
ずっと触れ合っていた肩の一部にひんやりと風が当たる。
それを感じて思いのほかさみしくなった。
明るい臙脂色の電車が徐々にスピードを落として目の前を滑る。
「骨川ァ〜・・・・骨川ァ〜・・・・」
乗ってきた電車の声とは違う声(それでも声の張り上げ方はそっくりだ)が駅の名前を告げる。
「先生」
坂田は立ち上がらない。
押しボタン式の電車からは誰も降りる人間はいない。そもそも乗客がまばらにしかいない。
「先生」
「出ますよ、早く」
新八は少し慌ててボタンを押す。
ぷしゅうっ
おかしな動きをして電車のドアは開く。
「先生!」
新八は白い線の真上に立って坂田を呼ぶ。大きな声で。
「先生!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ドアはまたおかしな動きをして閉まった。
運転士が窓から顔を出して律儀に指確認をする。
電車はゆっくりと動き始める。
がたん・・・・・・・がたん・・・・がたんがたん・・・
骨川に再び二人は残される。
坂田はくしゃみをする。
新八はまた同じ席に座った。また、同じところが触れ合う。
「さむい」
「なんで電車乗らなかったんですか」
「もうしばらく電車来ませんよ」
坂田は黙って洟をすする。
「どっか行く?」
新八は目を丸くした。めがね越しの坂田の目からは何の意味も汲み取れない。
「どこに?」
「どこでも」

「長谷川のいねーとこ」
坂田は白衣のポケットをごそごそ探って煙草を取り出す。
反対側のポケットを探って緑色の透明なライターも取り出す。
新八はそのがさがさとした動作をぼんやりと感じた。(直接見てはいないけれども)

泣きたくなった。

「・・・なんで」
大きなくしゃみで遮られる。
「あー、やっぱあったけーとこ・・・」
もう一度くしゃみ。
煙草とライターは一緒くたしてポケットにしまわれた。
「温泉」
坂田は続ける。
「沖縄」
「ハワイ」
あぁ
「あったけー冬の海」
ここで坂田の指がめがねをくぐって新八の目元に触れた。
眼球に触れないようにぎりぎりのところをなぞる。新八はび
くっと身体を強張らせた。
指には涙がのっかった。坂田の冷たい指にのる熱い涙。
「そんなとこ・・・ない」
坂田の顔が不意に寄せられる。
唇が触れる寸前にめがねとめがねが硬質な音を立てて触れた。







言い訳を反転で・・・・・ 新八と長谷川さんは二年の頃からこっそりお付き合いをしているんだけど3Zにあがって
新八は坂田銀八先生がいろいろちょっかいだしてくるためにだんだん惹かれつつあってどうしようと悩んでいる、
という説明しなければわからないものでした・・・(すみません・・・
新八は自分がずっと片思いだと思っていて、でも坂田先生も上着も何も着てこないぐらい急いで自分を探しに来るほど
新八を好きだということが私の脳内ではあったのですが全くわかりにくくてすみません・・・
思春期は意味もなく陽気になったり泣きたくなればいいなぁ、と。もう思春期など通り過ぎてしまい覚えてませんが
特に本誌の方で新八は男らしい心持ちをしてなさそうなので(←やればできる子だけど)、かなり女々しくしてしまいました
男の気持ちなんざ本当にわからないので一度男になってみたいです
彼らと私たちはきっと別の生き物です


謝りっぱなしですが一万ヒット本当にありがとうございました
私はボックス席と押しボタン式電車で当たり前のように育ったので都会の電車(といっても山の手線とか総武線とかしか乗ったことは無いのですが)
にはじめショックをうけたものでした。景色が見づらいじゃないですか、ボックス席じゃないと
移動手段というもののみで作られた合理的な電車なのだろうな、と思いました
































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